2020.2.19
活動報告
中経連は1月22日(水)、公正取引委員会委員長の杉本和行氏を講師に迎え、「デジタル時代の競争政策」と題する講演会を名古屋市内にて開催し、約70名が参加した。
杉本氏は冒頭、「企業はイノベーションにより新製品や事業を創出し、需要を増大させる必要がある。そして、自由で公正な競争の阻害要因を排除し、企業がイノベーションを起こしやすい環境を整えることが我々のミッションである」と企業によるイノベーションの重要性、公取委の考える競争政策のあり方を述べた。
直面する課題への対応として、経済のデジタル化に対する競争環境の整備をあげた。プラットフォーム企業の活動領域がeコマース、金融、モビリティと業種の壁を越えて広がり、消費者に大きな利益をもたらしているが、一部企業にデータが集中し、市場を独占しやすくなる特徴がある。そのため、市場支配力を背景とした不当なデータの収集・利用、取引相手に対する不公正な取引、利用者への優越的地位の濫用の問題などが懸念されている。
これらの問題に対し、独占禁止法上問題となった具体的事例や、国会提出が予定されている「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法案」の検討経緯の紹介などを行い、公取委の考え方を示した。また、利用者の個人情報を本人の意図しない不当な利用から保護した上で、「データを公共財として位置づけ、データへのアクセス・移転・開放ルールを整備していくことが我々のこれからの重要な課題である」と述べた。
公正取引委員会委員長 杉本和行氏