2020.1.1
プレスリリース / 会長コメント
明けましておめでとうございます。年頭にあたり、私の考えるところをお話しします。
平成のはじめ、世界最高レベルにあった日本の産業競争力は低下の一途をたどり、30年経った現在、1人当たりGDPは先進国中最低水準にあります。この間、IT革命でパラダイムシフトを先導した米国、巨大市場を背景に大躍進を遂げた中国に対し、デジタル化に遅れ、少子高齢化にも手を打たず、停滞し続けた日本。その差は、短期的視点と守りの姿勢、そして変化に対する感度の低さから、私たちが将来に向けた行動を怠ってきたことに起因します。
デジタル革命のうねり、東京一極集中と地域の疲弊、労働力不足問題に直面する今、あらゆる面で従来型の仕組みを壊し、創造する思い切った行動が必要です。その際、欧米を追いかけ、東京に倣うのではなく、中部圏の強みを見定め、長期的視点に立って未来に投資していく。誰かがやるのではなく、自ら動くことが重要です。
中経連は昨年、中部圏の進むべき道筋を示し産学官で共有したいと考え、2050年を見据えた将来ビジョンを策定しました。実現に向けた活動として、産業競争力の源となるイノベーションを生み出そうとナゴヤ イノベーターズ ガレージが始動しました。
まち・ひと・産業、全ての将来像に欠かせない要素は、「多様性」「オープン化」「広域化」です。この3つをキーワードに、各地域の声をしっかりと受け止め、今年取り組む重点テーマを申し上げます。
中部圏の将来ビジョン実現に向けて
点の動きや部分最適では、私たちが対峙する社会・産業構造の変革への対応は難しく、広域で連携し、役割分担により各機能を強化することが必要です。中部国際空港二本目滑走路をはじめとする交通ネットワークの整備促進、自然災害の脅威に備える国土強靱化にも県域を越えた連携が欠かせません。これらを具体的行動に移すよう産学官が議論する「場」を設け、進むべき方向性を定め、活発な対流・交流を生み出し中部圏を活性化する施策を推進したいと思います。
イノベーションの促進
ナゴヤ イノベーターズ ガレージに、さまざまな業種・業界から意欲ある人々が集まりはじめました。今年は、ここから新しい価値を生み出すためのさらなる仕掛けを考えています。中部圏各地で立ち上がった支援拠点との連携、国内外の先進地域とのネットワーク構築にも取り組みます。
多様な人材が活躍する地域へ
中部圏を支え、日本を支え、世界で活躍する人材の育成と、女性・シニア・外国人など多様な人材の活躍する社会づくりが最大の課題です。労働市場の変化や日本的雇用慣行の問題点を含め、中部圏の産学官が向き合うべきは何かを明確にし、具体策を打ち出します。
令和が新たな成長の時代となるよう、自ら声をあげスピード感をもって動き、この一年の活動に取り組んでまいります。中部圏の真の創生に向けて、引き続き皆様のご支援・ご協力をお願い申し上げますとともに、今年が皆様にとって素晴らしい年となるよう祈念いたします。