2017.1.1
会長コメント
明けましておめでとうございます。旧年中は格別のご支援とご協力を賜り、誠にありがとうございました。今年も宜しくお願い申しあげます。年頭にあたり、私の考えるところをお話しします。
私たちは、社会・産業の両面で起こっている世界の激動を、感じとれているでしょうか。イギリスのEU離脱決定に続き、アメリカ大統領選挙においてトランプ氏が勝利しました。中間層の不満は噴出し、既存の政治からの脱却を求めており、社会構造の変化は大きなうねりとなっています。内向きの政策、保護主義の広がりは、貿易立国の日本に少なからず影響を与えるであろうと懸念しています。
一方、産業界では、IoTや人工知能に関する技術が目覚ましい速度で進展しています。これによりビジネスのスピードは、人が歩く速さから航空機並へと劇的に変化しそうです。この分野において、新たなビジネスモデルがアメリカで次々と生まれ、ドイツをはじめとする欧州勢は世界標準を握りつつあり、日本は遥かに引き離されています。
こうした世界の変動について、情報は時々刻々と入ってきておりますが、相変わらず私たちの危機意識は低いままだと感じます。世界の潮流から取り残され、このままではものづくりを中心とした日本のビジネスモデルは、ガラパゴス化するのではないでしょうか。
中経連会長に就任して半年、私は再三、「まず声をあげる」「とにかく動く」ことが大切だと申しあげてきました。しかしながら、いまだ変化のスピードはあがってきません。全国的にみて中部は経済が堅調と言われていますが、実はその足元が揺らぎ始めていると感じています。
こうした激変期を迎えた今、中部圏の真の創生に向けて、先人の築いた礎を踏まえつつ、中経連の活動を新たに定める時期に差し掛かったと判断しました。私が重要だと思うところを3点申しあげます。
1点目は、まず、地域自らが動く、産業界自らが動くという基本姿勢です。中部には鍛えられた技術力、それを活かす企業力、逆境を跳ね返す底力があります。こうした強みを磨き、活かすことで、生き残る道を確かなものにします。
2点目は、従来のものづくりの領域にとらわれず、枠組みを超えて、日本独自の優位性ある製品・ビジネスモデルを生み出すことです。当地域が得意とするものづくりに、新たなソフトやサービスを組み合わせることで、新しい価値が創造されます。また世界をリードできるように、視野広く全体像をとらえたビジネスモデルを考えていくことが必要です。
3点目は、夢ある将来を切り拓く人材を育てていくことです。不確実性の高い時代に道を指し示すのは人であり、世界と渡り合い、世界と協調し、そして中部の強みを世界に売り込む人材を育てることです。
中部圏にはこれらを実現する潜在力があり、日本を牽引するのは中部圏においてほかにないと確信しています。
米国発、欧州発の変化をしっかり受け止めて、それぞれの活動を着実に進めることで、中部経済の持続的発展に繋がる一年にしたいと思います。
引き続き、皆様のご支援・ご協力をお願い申しあげますとともに、今年が皆様にとって素晴らしい年となるようお祈り申しあげます。