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三田 前会長 退任挨拶

私が会長に就任したのは、東日本大震災後の平成23年5月でした。以来、本日までの5年間、皆様に支えられ、会長を務めさせていただくことができ、心より厚く御礼申し上げます。
就任当時、わが国の経済は、いわゆる六重苦と言われる厳しい状況にありましたが、その後、アベノミクスの効果等により大きく回復してまいりました。そして、世界初となる燃料電池車MIRAIの発売、国産初のジェット旅客機MRJの初飛行、リニア中央新幹線の着工など、中部圏が未来に向けて大きく羽ばたき始めた時期でもありました。
こうした夢が形になっていく時に会長を務めることができ、皆様と共に歩んでくることができたことは、私自身にとりまして、大きな喜びであり恵まれたものでした。

この5年間、「ものづくり」、「まちづくり」、「ひとづくり」を軸に事業活動を展開してまいりました。
「ものづくり」では、5つのリーディング産業を中心に、例えば、航空宇宙産業では、振興に向けた特区の認定や内容の充実に努めてまいりましたが、今後、世界と戦っていくためには、「ものづくり」を支えている中堅・中小企業の強化・連携を一層進める必要があります。
また、観光産業では、平成24年から昇龍道プロジェクトに取り組んでまいりましたが、海外からのインバウンドは、この4年間で4倍以上となりました。国内旅行客を含め、これをさらに伸ばしていくには、さらなる情報発信と受入環境の整備を一層推進していく必要があります。
「まちづくり」では、官民合同での要望活動などにより、新東名高速道路の開通をはじめとして、中部圏の交通インフラ整備は進みつつあります。しかし、セントレアの2本目滑走路の早期実現など、取り組むべき交通ネットワークの整備はまだまだ沢山あります。
「ひとづくり」では、労働力不足への対応や人材の育成を目指し、ダイバーシティーの推進や産学の連携に意を用いてまいりました。会員大学も20を数えるまでになっており、中部圏の発展に必要な人材の育成に向けて、産学連携の一層強化が期待されます。

このような活動にあたっては、まずは「中部の経済界自らが考え、行動を起こし、その上で国にしかできないこと、必要なことは要求していく。中部の自立的な発展を国の発展に繋げていく、中部が日本の経済を引っ張っていく」という自負心を持って進めてまいりました。
そのためには、私は、地域間、産学官の連携など「連携」が何よりも重要と考え、「連携」をキーワードに取り組んでまいりましたが、会員の皆様をはじめ多くの皆様に支えていただき、そして様々な分野の皆様とともに活動できたことが、私にとって何よりの喜びであり、改めて感謝申し上げる次第であります。

今日まで、様々な課題の解決に向けて取り組んできましたが、まだまだ道半ばであり、人口減少や少子高齢化、地域創生など、課題は山積しております。豊田会長は高い識見と豊富な経験をお持ちであり、中経連会長として最も相応しい方であります。
豊田会長のもと、新しいチャレンジがスタートします。会員の皆様には、倍旧のご支援とご協力を、よろしくお願い申し上げます。私も退任することとなりましたが、これからも豊田会長をしっかりご支援申し上げてまいりたいと思っております。

思い出は数多く、語り尽すことはできませんが、5年間、誠にありがとうございました。

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