2016.6.9
会長コメント
第14代の中経連会長にご選任いただきました豊田です。
私は8年間、副会長を務めてまいりましたが、この度は会長をお引き受けすることになり、改めて責任の重さに身の引き締まる思いです。中部圏の発展のために取り組んでまいりますので、三田前会長と同様、ご支援・ご協力を賜りますようお願いいたします。
今、世界は、人・モノ・カネ・情報・技術などが国境を越えて駆け巡り、猛スピードで変化しています。これに伴い、世界各国で新たな企業が次々に生まれる一方、急速に競争力を失う企業も出てきております。商品やサービスの競争優位な期間は短くなり、半年もすれば新興国が新たな競合製品を生み出すようになりました。
また、ICTや人工知能の進歩が、この変化を一層加速していくと思われます。わが国の、かつての勝ちパターンは、はるか昔のこととなり、今や先が読めない何が起こるか分からない時代、一瞬の油断が大変なことにつながる時代となっています。
中部圏の経済社会、わが国の経済社会は、世界の変化に先んじて変化していかなければなりません。企業も大学も行政も素早く、積極的に自らを変えていかなければなりません。中部圏にはそれができると思います。
ご承知の通り、わが国は、人口減少、少子高齢化、東京一極集中、ローカル経済の低迷などの問題を抱えており、挑戦課題として「地方創生」や「一億総活躍社会の実現」などに取り組んでいます。中部圏も例外ではなく、ローカル経済の疲弊、産業の空洞化、若者の首都圏への流出などの問題を抱えています。
このため、航空宇宙や次世代自動車、観光産業などの次世代の稼ぐ力となる産業や人材を育成するとともに、安全で住みやすく魅力ある地域づくりを進めることが重要な挑戦課題となっています。
これらの挑戦課題には、できるだけ具体的な実行行為をもって対応していく必要があります。
これまで、中経連は、三田前会長の下で「ものづくり」、「まちづくり」、「ひとづくり」の3つの分野で、変革に向けて提言を発信し、行動してまいりました。今後は、達成された成果を基盤に、さらに中部圏を発展させるべく、具体策の展開に取り組んでいきたいと思っています。
まず、「ものづくり」については、ものづくり産業の進化や、サービス産業を中心とするローカル経済の活性化、中小企業の活性化に向けて具体策を見出したいと考えています。
次に、「まちづくり」については、住みたくなるまち、訪れたくなるまち、働きたくなるまちづくり、つまり、国内外の人々が定住や観光で集うまちづくりに向けて具体策を見出したいと考えています。
また、「ひとづくり」については、日本人としてのアイデンティティーをもった人材、高い基礎学力を持った人材の育成に向けて、基礎教育のあり方などを含め具体策を見出したいと考えています。
これらに総合的に取り組むことにより、「新中部圏の創生」を推進し、ひいては日本の経済社会の発展に貢献していきたいと考えています。
これらを進めるに当たって、私たち経済界の自助努力が求められることは申すまでもありません。また、産学官の連携を大切にし、一層強化していきますが、もう一つ忘れてはならないことは、スピードであると考えています。世界に先んじて中部圏を変えていくためには、スピードが必要となります。素早く情報を得て認識を新たにするスピード、意思決定をするスピード、意思決定を実行に移すスピード、実行に移したことを情勢に応じて柔軟に修正するスピードなどのさまざまな断面のスピードを上げていきたいと考えています。
このような考えに基づき、中部圏の明るい未来の実現に向けて全力で取り組んでいく所存ですので、皆さま方のお知恵や忌憚のないご意見、お力添えを賜りますようお願い申し上げます。