2013.6.13
会長コメント
わが国経済は、安倍政権による経済・財政政策への期待や、日銀の大胆な金融緩和などにより、円高の是正や株価の上昇が進み、景気回復に向けて明るさが出てきております。上昇を続けてきた株価は、このところ乱高下するなど、調整局面にあるように思いますが、一日も早く実体経済が回復するよう、期待するところであります。
中部圏においても、生産や消費は持ち直しつつあり、会員の皆さまにご協力をいただいております景況判断、DIを見ますと、4~6月期は速報値ではありますが、2期ぶりにプラスに転じた1~3月期のプラス2.0からさらに改善し、リーマンショック直前の水準であるプラス20ポイント程度に戻る見込みとなっております。
6月14日には、金融緩和、財政政策に次ぐ成長戦略が決定される予定であります。
成長戦略は、わが国経済の再生に向けた道筋を示すうえで大変重要な指針であり、中経連は、去る5月17日に成長戦略に盛り込んでいただきたい施策をとりまとめ、政府に要望いたしました。
この中で、中経連は、
・イノベーションに資する基礎研究の強化と民間の技術開発支援
・海外生産で得た所得の国内への還流の促進
・特区の活用による新産業等の育成支援、規制緩和の促進
・少子・高齢・人口減少社会に対応したコンパクトな街づくりに資する規制の見直し
・イノベーションを推進し、グローバルに活躍できる高等教育体制の整備
などを要望いたしました。
成長戦略では、3大都市圏を念頭に国家戦略特区、いわゆる「アベノミクス戦略特区」を創設する方針が打ち出される予定でありますが、これは中経連の要望に沿うものであり、今後は、愛知県が特区に選定され、「航空宇宙産業の法人税引き下げ」や「公道での車の自動走行実験」などが可能となれば、中部圏の航空宇宙産業や次世代自動車産業の振興にとって大きな起爆剤となるものと期待しております。
一方、産業界においては、厳しいグローバル競争に打ち勝っていくために、自らも変革する意識を強く持って、行動していく必要があると考えております。
このような状況の中、中経連は、昨年度に引き続き「ものづくり」、「人づくり」、「地域・街づくり」を柱として活動を行なってまいります。
〔ものづくり〕
「ものづくり」では、先人たちの自由な発想と創意工夫の精神で世界に誇る産業集積を成し遂げ、わが国経済を牽引してきた中部圏が、今後も『世界の「ものづくり」のトップランナー』として成長していくために、高い技術力にソフト・サービスを組み込み、お客さまに新たな価値を提案するなど、「ものづくり」を新しいステージへとステップアップさせていく様々な取り組みを行なってまいります。また、「ものづくり」を支える中小企業や農林水産業の振興、各地域の資源や技術を活かした地域産業の振興にも取り組んでまいります。なお、円安になってきたこともあり、外国人旅行客が増加しておりますが、昇龍道プロジェクトとも連携し中部圏へのインバウンドの増加を目指してまいりたいと考えております。
〔人づくり〕
「人づくり」では、「ものづくり」を支える優秀な人材や、世界で活躍できるグローバルな人材の育成に取り組んでまいります。会員である16の大学と協調し、産・学の若手のネットワークの形成を目的とした「Next30産学フォーラム」などを引き続き実施してまいります。また、企業の求める人材育成の観点から、大学の授業に協力し、産業界の生の声を伝えるなど、大学との連携を一層強化してまいります。
〔地域・街づくり〕
「地域・街づくり」では、2027年に開業が予定されているリニア中央新幹線の効果を広域で活かすことができる、街づくりを推進してまいります。また、少子・高齢・人口減少社会の到来を見据えるとともに、「南海トラフ巨大地震」に対する防災・減災対策にも、しっかりと取り組んでまいります。街づくりには、推進役が必要であります。自治体と協調しながら、民意を形成し、関係者が動き出すことができる環境づくりにも全力で取り組んでまいりたいと考えております。
繰り返しになりますが、成長戦略は、わが国経済の再生に向けた重要な指針であり、具体的かつ実効性の高い施策に基づき、官民が総力を挙げて実行していくことが重要であると考えております。
そのために、中経連は、「中部の明るい未来」の実現に向け、これまで以上に、会員の皆さまや各地域のご意見・ご要望をお聞きするとともに、委員会、懇談会などを積極的に開催し、政府や関係行政へ提言・要望などを精力的に行ってまいりたいと考えております。
引き続き、皆さまの積極的なご参加・ご支援をお願い申し上げます。