2016.12.26
活動報告
中経連は12月15日(木)、「多様な人材の育成」をテーマに、「第13回中央日本交流・連携サミット」を名古屋市内にて開催し、当地域の行政・経済界や一般公募者など約300人が参加した。
主催者挨拶で、中日新聞社の白井会長は「人材育成はあらゆる企業や組織、また地域社会にとって、大切な課題であり、わが国がこれからも社会の豊かさを維持していくためには、ひとりひとりの潜在的な能力を引き出す取り組みが不可欠である。各自治体では、次世代産業として期待のかかる航空機など高度なものづくりを担う人材育成や、農業や観光など地場産業を支える人づくりに力を注いでおり、本日は、それぞれの地域がどのような人材を育て地域の発展につなげていくのか、また経済界と行政との間でどのような連携が必要かをご議論頂きたい」と述べた。
その後のパネルディスカッションでは、名古屋大学高等教育研究センター教授の夏目達也氏をコーディネーターに、本会・豊田会長のほか、中部5県1市の代表者(愛知県・大村知事、三重県・鈴木知事、名古屋市・河村市長、長野県・太田副知事、岐阜県・岸副知事、静岡県・吉林副知事)をパネリストに迎え、人材育成についての課題やその克服のための取り組み、連携のあり方等について説明・議論を交わし、参加者は熱心に聴き入った。
各パネリストの主な発言内容は以下の通り。
機関 |
主な内容 |
愛知県 |
・愛知県産業人材育成連携会議を設置し、地域をあげた人材力強化を実施 ・工業教育の中核となる愛知総合工科高校の開校 ・ウーマノミクス研究会を設け、女性活躍を通じた人材の育成・確保を実施 ・グローバル人材育成のための児童生徒の英語力の強化 ・「人財力」「産業力」「地域力」を高め、「日本一元気な愛知」をつくる |
三重県 |
・航空宇宙・ICT・農林・食など、地域に活力を与える産業人材の育成 ・女性の活躍推進を広く発信することによる更なるムーブメントの喚起 ・農業と福祉の連携による農業の多様な担い手の確保 ・高校生への多様なビジネス体験機会の提供 |
名古屋市 |
・なごや子ども応援委員会を設置し、学校現場で子どもたちを支援 ・ひとり親家庭などの中学生の高校進学を学習サポーターが支援 ・市立高校工業科のデュアルシステムや名古屋少年少女発明クラブなどによる 産業人材の育成 ・様々な取り組みを通して「日本一子どもを応援する街」をつくる |
長野県 |
・航空機産業の振興や女性の就業継続支援など、稼ぐ力を高める取り組み ・若者の県外流出を抑制するための県内高等教育の魅力向上と収容力向上 ・長野県の歴史・文化や産業を学ぶ「信州学」の実施 ・起業家育成、デュアルシステムなど、若者のキャリア教育や職業観の醸成 ・グローバル人材やICT人材の育成など、次代を担う若者の育成 |
岐阜県 |
・中核産業に育ちつつある航空宇宙産業の振興 ・小中学生・高校生・就業者までの切れ目のない人材育成 ・航空宇宙産業の人材や農業・林業の担い手確保など総合的な人づくり ・岐阜サマー・サイエンス・スクールなど、本物や一流に触れる経験の 重要性 |
静岡県 |
・「静岡ものづくり革新インストラクタースクール」や「プロフェッショナル人材戦略拠点」など、産業人材の育成・確保 ・産学官金の連携による「静岡新産業集積クラスター」への人材育成支援 ・航空関連産業、観光産業など新成長分野を担う産業人材の育成 ・地域人材の活用や新しい実学の奨励など、社会総がかりの教育による人 づくり |
中経連 |
・世界は猛スピードで変化しており、目まぐるしい環境変化に対応するためには様々な価値観や経験、能力を持った多様な人材を戦略的に育成することが求められる。 ・若手人材の中には基礎的な学力・能力が身についていない者も多く、産業界は強い危機感を抱いている。 ・中経連では、会員企業の社員を会員大学の講義に派遣し、働くことの意義などを学生に伝える「企業・人材プール」や、若手企業人と大学人とのネットワークづくりや多様な価値観に関する気づきの場づくりを目的にした「Next30産学フォーラム」を実施している。 |
夏目教授 (総括) |
・現在の社会を担う世代は、次の世代が将来社会を担えるだけの力を持てるように教育や支援をする責務がある。 ・多様な人材の育成は、将来にわたって中部圏が発展していくために不可欠である。 ・各県市の取り組みについて、県市の枠を越えた連携を追求していくことが重要である。 |
各パネリストの発言など抄録は、機関誌「中経連」2月号に掲載予定