2015.4.22
活動報告
中経連は4月16日(木)、第1回ロボット産業講演会を開催し、約100名が参加した。
まず、経済産業省 中部経済産業局 地域経済部 次世代産業課課長の瀬賀和也氏より「『ロボット新戦略』のポイントと関連予算事業」と題して講演が行われた。
「ロボット新戦略」は本年1月に政府が発表したもので、「ロボット革命」の実現に向けたアクションプランが分野横断的事項と分野別事項に分けて示されている。
分野横断的事項では、「ロボット革命イニシアティブ協議会」(産学官を分厚く巻き込んだ推進母体)の創設、次世代に向けた技術開発、標準化・実証フィールドの整備(2020年におけるロボットオリンピック(仮称)の開催など)、ロボット関連規制改革の実施(政府の規制改革会議とも連携)について説明された。
また、分野別事項においては、ものづくり、サービス、介護、医療、インフラ・災害対応・建築、農業の各分野における重点分野と2020年に目指すべき姿について解説され、特にサービス分野においては、人口減少社会において裏方作業におけるロボット活用が重要であると訴えた。その後、ロボット関連の各省庁の施策や、ロボット導入実証事業の公募等について紹介された。
参加者からは、「導入・開発支援だけでなく、介護ロボット等の許認可の迅速化は検討されているか?」、「導入実証事業の申込み状況は?」など、多くの質疑が交わされた。
続いて、国立研究開発法人 産業技術総合研究所 ロボットイノベーション研究センター 総括研究主幹(兼務)スマートモビリティ研究チーム 研究チーム長 松本 治氏より「ロボット産業の市場動向と開発動向~つくばモビリティロボット実験特区の取り組みを中心に~」と題して講演が行われた。
まずロボット産業の現状として、従来の産業用ロボットを中心とした市場に加え、今後はサービス分野の市場拡大が予測されることなどが紹介された。次に研究開発動向として、2010年代に産業化が期待されている4つのロボット分野が紹介され、特に人間装着型ロボット、生活支援ロボットは国際安全規格の整備を行い、試験・認証を行う施設もつくばに設立され、産業化の体制が整えられていることなどが紹介された。
その後、モビリティロボットについて紹介され、あいち万博で体験乗車デモが行われた自律走行機能を持つインテリジェント車いす、さらに、現在つくばで行われているモビリティロボットシェアリング実証実験について説明された。特区制度を活用して実証を行い、モビリティロボット以外にも運用システムなどの様々な技術開発を行ったが、保安要員の配置など、技術面以外にも規制緩和すべき項目が多いなどの課題が提起された。講演後の質疑においても、走行速度に制度的な制約があり、低速での運用にとどまっていることなどが紹介され、参加者は先行する取り組みから多くの知見を得て、ロボット開発・利用についての理解を深めた。