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東海地域経済懇談会(2/6)

中経連は、日本経済団体連合会(経団連)および東海商工会議所連合会(東海連)とともに「東海地域経済懇談会」を名古屋市内で開催した。「公正・公平で持続可能な社会を目指して」を基本テーマに、水野中経連会長、十倉経団連会長、嶋尾東海連会長をはじめ主催団体の会員約200名が参加した。概要は以下のとおり。

水野中経連会長 挨拶要旨
日本経済は物価上昇を上回る持続的な賃上げの定着や加速する少子化、東京一極集中による地方の人口流出といった喫緊の課題に対し、迅速かつ的確な対応が求められる。一方、世界では、ウクライナや中東の情勢不安、中国経済の減速に加え、トランプ大統領の関税をめぐる発言が世界経済の先行きに不透明感をもたらしている。

<中部圏ビジョン2050>
このような不確実性が高い時代において、私たち経済団体には、地域の産学官金をつなぎ、共通の将来像を見据えながら明確な方向性を示す役割があると考えている。そこで中経連は2025年2月3日に、2050年頃の社会を展望し、当地が目指すべき進路を示す羅針盤として「中部圏ビジョン2050」を策定した。本ビジョンでは、日本全体の課題とその対応策を整理した上で、中部圏がどのように貢献できるかを「産業」「人材」「地域社会」の3つの観点から「目指す姿」として描き、必要な取り組みを提示している。中部圏が若者や女性をはじめ国内外の多様な人材を惹きつける魅力ある地域となるよう産学官金の連携を一層深めていきたい。

<中部圏の明るい話題>
中部国際空港は2005年の開港から20周年を迎えた。今後、代替滑走路の供用開始や現滑走路の大規模補修も進められることで中部圏の航空ネットワークはより強化され、利便性が一層向上する見込みである。さらには、2025年9月には世界最大級の「旅の万博」である「ツーリズムEXPOジャパン2025」が愛知県で初開催されるほか、2026年には「アジア・アジアパラ競技大会」、2028年には「世界技能オリンピック」が控えている。これらの機会を生かし、当地の歴史・文化・伝統工芸などの魅力を国内外へ積極的に発信することで、新たな人流を生み出し、地域の活性化につなげていきたいと考えている。

十倉経団連会長 挨拶要旨
経団連は2024年12月に、わが国の進むべき方向について、将来世代の立場を踏まえた日本の未来社会の姿を描く「FUTURE DESIGN 2040」を策定した
<FUTURE DESIGN 2040>
わが国は、「少子高齢化・人口減少」「資源を持たない島国」という課題に直面しており、避けては通れないパスウェイとして、「科学技術立国」と「貿易・投資立国」を掲げた。その基盤となるのは「公正・公平」で「持続可能」な社会であり、その実現には「成長と分配の好循環」が欠かせない。
「FUTURE DESIGN 2040」では、こうした未来の姿を築くための柱となる6つの施策として、「全世代型社会保障」「環境・エネルギー」「地域経済社会」「イノベーションを通じた新たな価値創造」「教育・研究と労働」「経済外交」の面から提案した。
これらの分野に内在する課題や施策は相互に絡み合う「入れ子構造」をしているため、「社会性の視座」に立ち、全体最適の視点が必要である。「FUTURE DESIGN 2040」で提示した内容が起点となり、中長期的な視点で国のあり方に関する議論が深まることを期待している。

<大阪・関西万博>
2025年4月13日には2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)が開幕する。会場建設費への寄付や前売り入場券の購入、全国的な機運醸成など、皆様の多大なご協力に改めて感謝申し上げる。引き続き、経団連の活動ならびに万博の成功に向けて、より一層のご理解とご支援をお願いしたい。

懇談概要
懇談会では、「活力ある地域づくり」「産業競争力の強化」の二つのテーマについて、中経連からは高原副会長が「中部圏ビジョン2050」、青木副会長が「中部圏発のイノベーション創出活性化」について問題提起した。

<テーマ1 活力ある地域づくり>
中経連・東海連からの問題提起
●日本語学校誘致による活力ある地域づくり  石黒 土岐商工会議所会頭
●第63回式年遷宮を契機としたインバウンド戦略  山野 伊勢商工会議所会頭
●中部圏ビジョン2050  高原 中経連副会長

<テーマ2 産業競争力の強化>

中経連・東海連からの問題提起
●産業競争力の強化のための生産性向上  加留部 名古屋商工会議所副会頭
●瀬戸市の「ヒトづくり・モノづくり・マチづくり」から更なる「コトづくり」へ
河村 瀬戸商工会議所会頭
●中部圏発のイノベーション創出活性化  青木 中経連副会長

≪高原副会長 発言内容要約≫

中経連では、大きく環境が変化する中、さらなる飛躍につなげるため、2050年を見据えた日本が抱える課題に対して、中部圏が貢献できる必要な取り組みをまとめた「中部圏ビジョン2050」を策定した。人口減少や地球環境悪化を念頭に、2050年頃には「豊かで持続可能な社会」を実現していることが重要であり、そこに向けた日本全体の課題と対応の方向性を10の項目(人口減少、経済、労働、地域など)に整理した。さらにこれらの課題解決に向けて、中部圏としてどのように貢献できるかを考え、目指す姿と必要な取り組みを「産業の進化と多様化」「人材・働き方の高度化」「魅力と活力のある地域社会の形成」の3つの観点で打ち出した。

≪青木副会長 発言内容要約≫
中経連では、中部圏のイノベーション創出活性化を目的として、特にオープンイノベーションの推進とアントレプレナー育成にフォーカスして活動している。その上で、これからの社会では、スタートアップを含めた企業の成長や競争力の強化はどれだけ柔軟に環境変化に適応できるかにかかっている。そのためには産業界や行政、アカデミアが一丸となって熱量高く活動を支援し、エコシステムを形成していくことで、その地域の価値向上につなげていきたい。

中経連・東海連が問題提起した内容を受けて、経団連からは「経営労働政策特別委員会報告」「持続可能でレジリエントな観光への革新」「GXの推進」「産業競争力の強化」「イノベーションの推進」「経団連の規制改革の取り組み」「地域経済・社会の活性化」」について説明が行われた。
最後に、東海連の嶋尾会長が閉会挨拶を述べ、懇談会は盛会裏に終了した。

懇談会後に開催した、水野中経連会長、十倉経団連会長、嶋尾東海連会長による共同記者会見の様子。

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