2024.12.4
会長コメント
本日はお忙しい中お集りいただき、ありがとうございます。
今年最後の定例会見となります。よろしくお願いいたします。
本日、私からは、
・足もとの景気動向と先行きの見通し
・2024年の振り返り
の2点についてお話しいたします。
<足もとの景気動向と先行きの見通し>
はじめに、足もとの景気動向について、お話しいたします。
中経連では、10月15日から11月19日にかけて、法人会員675社を対象に景況に関するアンケートを実施し、今月2日に結果を公表いたしました。
景況感の現状を見ますと、10月から12月期の景況判断指数、すなわち、景気が「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を差し引いた値は、プラス19.8ポイントと、前回の19.6ポイントからほぼ横ばいとなりました。
これは、製造業で輸送用機械を中心に回復が見られた一方、非製造業ではインバウンド需要が鈍化したことが主な要因とみております。
今回の結果で注目すべきは、「物価と賃金の好循環が地域経済を押し上げる」という期待がある一方で、非製造業や建設業を中心に深刻化する、人手不足への懸念が伺える点です。
先行きについては、米中経済の行方や為替変動のリスクは残るものの、各業種で改善の兆しが見られます。
いま、中部経済は、成長の「再加速」に向けた土台を整える段階にあります。この機を逃さず、推進力をさらに高めていく必要があると考えております。
<2024年の振り返り>
さて、師走に入り、今年も残すところ1カ月となりました。
今年を振り返りますと、2024年は「変化の激しい一年」となりました。
国内では、9月に石破内閣が発足したほか、米国では11月にトランプ氏が再び大統領に選ばれるなど、政治において、「大きな転換点」を迎えました。
経済に目を移せば、約30年ぶりの高水準となった賃上げがデフレ脱却の足掛かりとなり、コロナ禍からの完全復活への道筋が見えてきた年でありました。
しかし、物価上昇が実質賃金を上回る局面も続き、個人消費には依然として影が差しています。
石破内閣には、少数与党として難しい舵取りとなりますが、「物価高を超える賃上げの実現」や「成長を支える投資環境の整備」を加速させ、国民生活の安定と経済基盤の強化を図ることを期待いたします。また、少子高齢化や東京一極集中による弊害は、先送りできない「待ったなし」の課題です。
地方経済の活性化を促進する施策や、中小企業のデジタル化・省力化支援など、持続可能な社会を築くための包括的なアプローチが不可欠と考えています。
世界に目を転ずれば、ウクライナや中東情勢の不安、中国経済の減速、トランプ次期大統領の政策がもたらす影響、さらには韓国における戒厳令の宣言・解除などにより、世界経済の先行きは、不透明感を増しています。
とりわけ、中部経済においては、対米貿易における関税政策や米中対立の行方が大きな懸念材料となっており、引き続き、米国における経済・通商政策の方向性を注視していきたいと思います。
他方、こうした国際情勢の変化を「リスク」ではなく、「新たな成長機会」として捉えることも重要であり、中部経済の持続可能性を高めていく上で求められる視点と考えています。
(自然災害への対応)
2024年は、災害の多い年でもありました。
元旦を襲った能登半島地震に始まり、日向灘を震源とする地震、台風10号、さらに、9月に再び能登を襲った記録的な大雨など、全国各地で被害が相次ぎました。
石破内閣に対しては、防災対策の強化と被災者支援の迅速化を求めると同時に、私たち中経連も地域企業の防災力を高め、経済全体のレジリエンス向上を図るための活動を一層推進してまいります。
災害に強い地域こそが、「未来への礎」になると考えています。
<まとめ>
さて、来年は、中経連が2021年に掲げた中期活動指針「ACTION2025」の最終年を迎えます。
これまで積み重ねてきた4年間の活動を土台に、次の3つの創造、すなわち、
・付加価値の創造
・人財の創造
・魅力ある圏域の創造
に力を注いでまいります。
中経連は今後も、地域や産学官金をつなぎ、共通のビジョンのもとで社会課題の解決と当地の競争力向上を目指してまいります。
2025年を「成果の年」とするため、私たちは挑戦を続けていきます。
最後になりますが、報道機関の皆さまには今年一年、大変お世話になりました。来年も引き続きよろしくお願いいたします。