2024.11.12
プレスリリース / 会長コメント
はじめに、昨日から始まった特別国会において首班指名が行われ、継続が決定した石破政権について、一言申し上げます。
石破政権には、まずは政治に対する国民の信頼回復に全力を尽くした上で、山積する課題、具体的には、物価高を上回る持続的な賃上げの定着や少子化・人手不足対策など、「待ったなし」で前進させるべき政策を遅滞なく着実に実行していただきたいと考えております。
また、エネルギー政策においては、電力の安定供給と脱炭素の同時達成に向けて、新増設を含む原子力発電の最大限の活用が不可欠と考えており、次期エネルギー基本計画策定に向けた検討にあたっては、これまで同様、活用の方向性について前向きに議論されることを期待しています。
世界に目を転ずれば、今月5日に行われた米国大統領選挙の結果、トランプ氏が4年ぶりに大統領に復帰いたします。
石破政権には、日米トップ同士のコミュニケーションを含め米国政権と良好な関係を構築し、両国経済が貿易と投資を通じた緊密な連携のもとで持続的に発展していけるような政策の舵取りに期待しております。
さて、本日、私からは、
・ステーションAiの開業
・大阪・関西万博
・アジア・アジアパラ競技大会の開催に向けた機運の醸成
の3点についてお話しいたします。
<ステーションAiの開業>
わが国が現在、東京一極集中や人口減少に直面するなか、中部圏の持続可能性を高めていくためには、自動車や航空機、半導体などの既存産業の進化に加え、新たな産業やイノベーションを生み出していくことが不可欠です。
中経連では、名古屋市と共同で運営するナゴヤイノベーターズガレージを拠点に、年間400件を超えるプログラムの開催を通じて、新しいことに挑戦する若い世代などを育て、裾野を広げる「基盤づくり」に注力しています。
他方、当地に「イノベーションのうねり」を起こすためには、ガレージや中部圏各地に点在する支援拠点がそれぞれ独自で取り組むだけでなく、共に創る「共創」と競い合う「競争」を積み重ねながら、面的な活動を展開することが重要と考えております。
先月31日には名古屋の鶴舞で、国内最大のスタートアップ支援施設「STATION Ai」が始動いたしました。
先日、私も現地を視察し、一つ屋根の下、全てのフロアがスロープでつながり、壁を排した開放的な空間の中で、コワーキングスペースで事業創造に向けて議論する人々の姿が想像されるなど、今後のイノベーション創出の連鎖を予感させる雰囲気とパワーを強く感じました。
今後、世界中の起業家や支援者がステーションAiに集い、スタートアップが生まれ、成長していくなかで、世界へ羽ばたき、活躍する挑戦者が続々と輩出される未来が実現することを大いに期待しています。
中経連としては現在、愛知県や名古屋市、名古屋大学などとともに、来年2月に開催を予定し、ガレージやステーションAiが舞台となるグローバルイベント「テックガラ ジャパン」に向けた準備を進めております。
今後とも、ガレージで育った若者がステーションAiで飛躍できる仕組みづくりなどを通じ連携を深めることで、当地におけるエコシステムの形成に貢献してまいります。
<大阪・関西万博>
次に、いよいよ5カ月後に開幕が迫る大阪・関西万博について、お話しいたします。
万博は、世界中から多様な人やモノ、価値観が集まり、地球規模の社会課題解決に向けた英知が結集する祭典であり、意義のあるものと考えております。
今から約20年前の2005年、ここ愛知県で開催され、およそ2200万人が来場した「愛・地球博」では、「自然の叡智」をテーマに、地球温暖化の解決に向けて、一人ひとりが「環境」について考え、行動に移すことの重要性を問いかけました。
この「課題解決型」のスタイルは大阪・関西万博にも継承されており、今回のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」です。
近年、人々の価値観や生き方が多様化する中、「いのちのあり方」という根源的な哲学を見つめ直すことで、世界中の人々に対し、持続可能な未来への希望を示すことを目指しています。
具体的には、生物学や食、ロボットなどを通じ「いのち」について向き合う体験をはじめ、空飛ぶクルマなどの新技術との出会いや160を超える国と地域、国際機関との交流などが、来場者の未来に新たな価値観や豊かさをもたらすきっかけになるものと考えております。
来年4月の開幕に向けて、先日には名古屋駅の「ナナちゃん」人形が万博仕様に装飾されるなど、当地でも盛り上がりを見せるなか、中経連としても、弊会の機関誌や会員向けメールマガジンなどによる情報発信を通じ、万博が持つ意義や見どころをお届けしていきたいと思います。また、万博をきっかけに関西地域に集まる国内外の人々が、中部の名所などにも周遊観光いただくことで、中部経済の活性化につなげられるよう、当地の魅力をPRしてまいります。
<アジア・アジアパラ競技大会の開催に向けた機運の醸成>
このほか、中部圏に人を呼び込む「起爆剤」となりうる国際イベントとして控えるのが、アジア・アジアパラ競技大会です。
開催まで2年を切った同大会は、競技数、参加選手数ともにオリンピック・パラリンピックに匹敵する規模であり、ここ愛知、名古屋に集うアジア各国からの人々との交流を通じ、当地の活性化につなげるチャンスです。
足もとでは、来年7月に開業を予定する「IGアリーナ」の建設工事や「瑞穂公園陸上競技場」の建て替えが進捗するほか、大会を支える4万人近いボランティアの募集が開始されるなど、開幕に向けた歩みは着々と進んでおります。
中経連としては今後、大会の成功と地域活性化に向けた継続的な支援に尽力していきたいと考えており、官民が一体となって、機運の醸成などに力を注いでまいります。