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西日本経済協議会 第66回総会 青木副会長 代表者発言要旨(10/8)

<はじめに>
はじめに、元日を襲った地震や先月の豪雨が、能登半島で暮らす皆さまの生活や生業に大きな影響を及ぼしています。

犠牲となられた方々に深く哀悼の意を表しますとともに、被災されたすべての方々に対して、心からのお見舞いを申し上げ、一日も早い復興と再生をお祈りいたします。
さて、私からは、「変革期にある中部圏のさらなる発展に向けて」というテーマで、弊会における足もとの取り組みとして、4点ご紹介いたします。

<新たなビジョンの策定>
冒頭で、弊会の水野会長からもご発言がありましたとおり、弊会は、現在が当地のさらなる飛躍を占う「分水嶺」に立っていると認識し、2050年頃の当地を見据えたビジョンの策定に向けて議論を進めています。
加速する人口減少社会においても、中部圏が持続可能な未来を形成していくためには、自動車や航空機、半導体などの既存産業の進化に加え、新たな産業やイノベーションを生み出していくことが不可欠です。

 <イノベーションの創出>
そこで1点目として、私が委員長を務めております、イノベーションの創出に向けた取り組みについてご紹介いたします。
弊会では、名古屋市と共同で運営するナゴヤイノベーターズガレージを拠点に、年間400件を超えるプログラムの開催を通じて、新しいことに挑戦する若い世代などを育て、裾野を広げる「基盤づくり」に注力しています。
また、今月末には、愛知県で国内最大のスタートアップ支援施設「ステーションAi」が開業を控えるなか、これらの拠点とも連携し、共に創る「共創」と競い合う「競争」を積み重ねながら、当地のエコシステム形成に向けて面的な活動を展開してまいります。
このように、イノベーションの活性化に向けては、志を持った若者や人を呼び込むための環境整備が重要と考えております。
その起爆剤として、来年2月には、愛知県や名古屋市、名古屋大学などとともに、中部圏初となる5,000人規模のグローバルスタートアップイベント「テックガラジャパン」を開催いたします。
海外からの参加者を多数募り、当地で起業する利点を国内外へ発信することで、ものづくり産業とスタートアップの融合による独自の産業創出につなげていきたいと思います。

 <カーボンニュートラルの実現>
次に、2点目として、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みについて、ご紹介いたします。
国ではエネルギー基本計画の改定に向けた議論が進む中、弊会は本年5月に、見直しにあたっての提言書を取りまとめ、経済産業大臣などへ届けてまいりました。
具体的には、既設原子力発電所の最大限の活用や新増設・リプレースに向けた政策を前進させるほか、再生可能エネルギーのさらなる拡大と火力発電の活用方針の明確化などを要望いたしました。
また、脱炭素社会の実現に向けては、政策提言だけでなく、従来の延長線上にない革新的技術が社会実装される環境の構築も重要と考えております。
この環境づくりを加速させる呼び水として、弊会は7月に、中部5県すべての国立大学による連携組織「シー・フロンツ」とシンポジウムを共催し、実現に向けて産学官が団結し、具体的な共創活動を進めることの重要性を確認いたしました。
弊会は引き続き、シー・フロンツとの連携を深めるほか、産官が一体となって利活用を目指す「中部圏水素・アンモニア社会実装推進会議」への参画を通じ、当地におけるカーボンニュートラル実現に向けた挑戦を後押ししてまいります。

<交通ネットワークの充実>
3点目は、交通ネットワークの充実に向けた取り組みです。
イノベーションの創出や脱炭素社会の実現に加え、当地の持続可能な未来に欠かせないのは東京一極集中の是正であり、この「切り札」と位置付けるのがリニア中央新幹線です。
リニア開業により形成される日本中央回廊は、首都圏・中部圏・関西圏を軸とした人やモノの交流を促し、イノベーションを誘発させるとともに、働き方や暮らし方を変え、東京一極集中の是正につなげるチャンスです。
弊会は本年3月、日本中央回廊がもたらす効果の最大化に向けて、当地の南北を縦断する幹線道路とリニアの中間駅を結ぶ道路網の整備に向けた提言書を公表いたしました。
弊会は引き続き、本提言書による要望活動を通じ、東京一極集中の是正と強靱な国土形成の実現に貢献してまいります。

 <ツーリズムEXPOジャパン>
最後4点目には、広域観光の促進に向けた取り組みについてご紹介いたします。
当地は、東京や関西に比べインバウンドの回復に力強さを欠き、今後の巻き返しが求められる中、来年9月には、世界最大級の旅の祭典であります「ツーリズムEXPOジャパン2025愛知・中部北陸」が愛知県で開催されます。
地域創生に向けたトリガーとして、中部北陸が有する歴史や文化、伝統工芸などの魅力を国内外へPRし、人を呼び込み、周遊観光につなげることで、西日本に活気をもたらしていきたいと考えております。

 <松本高山Big Bridge構想>
この他、ここ下呂の北部に位置する高山市と長野県松本市を舞台に、世界有数の山岳観光地と肩を並べる世界観の創出に向けて、地元官民が一体となってプロモーションを推進する取り組みもあります。
中部山岳国立公園南部地域を間に挟み、松本と高山をつなぐ横断ルートを巡る「松本高山Big Bridge構想」です。
この構想は、上高地など国立公園の美しい自然を体感できるコンテンツの創出や、両市を結ぶトレッキングルートの充実などを図ることで、上質な体験の提供を目指すものであり、弊会としては、様々な機会における情報発信を通じて、後押ししていきたいと思います。

 <おわりに>
以上、弊会の主な活動について、4点ご紹介いたしました。
ここにお集りの私たち経済連合会には、共通する諸課題に対して時に団結し、地域の声をより大きな力に変えて国へ届けるとともに、本日の総会をはじめ様々な場で連携を深めることで、各地域の更なる活性化につなげていく役割があると考えております。
引き続き、西日本各地の持続的な発展に向けて、皆さまからの一層のご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げ、私からの発言とさせていただきます。ありがとうございました。

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