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水野会長「9月度定例記者会見」あいさつ要旨(9/2)

はじめに、先月末から昨日にかけて西日本を横断した台風10号について、一言申し上げます。
低速で迷走した今回の台風では、九州地方を中心に広範囲に及ぶ停電や建物の倒壊などの被害が出ただけでなく、当地においても長時間にわたる記録的な大雨による土砂災害や河川の氾濫、交通機関の運休や乱れが発生するなど、地域の皆さまの生活や経済活動に大きな影響が出たと承知しております。
被災された方々には、心からのお見舞いを申し上げるとともに、一日も早く平常に戻ることをお祈りいたします。
中部地域においては、台風や豪雨などの自然災害だけでなく、南海トラフ巨大地震の発生が懸念されるなか、中経連としては引き続き、当地の企業や経済全体のレジリエンス向上に向けた防災や減災に資する活動を推し進めてまいります。

さて、本日、私からは、
・中部圏における足元の景気動向と先行きの見通し
・提言書「カーボンニュートラルの実現に向けた社会実装の推進」
・2025年度税制改正に対する意見
の3点についてお話しいたします。

<足元の景気動向と先行きの見通し>
はじめに、足元の景気動向と先行きの見通しについて、お話しいたします。
中経連は、7月17日から8月9日の間、法人会員653社を対象に、景況に関するアンケート調査を実施し、先月30日に結果を公表いたしました。
景況感の現状をみますと、7月から9月期の景況判断指数、すなわち、景気が「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を差し引いた値は、プラス19.6ポイントと、前回を4.8ポイント下回り、3期ぶりに悪化いたしました。
これは、製造業において、輸送用機械を中心に落ち込んだことが主な要因でありますが、水準としては依然高く、景気は足踏みしている状態と見ております。
会員企業の皆様からは、個人消費の回復や物価と賃金の好循環、為替の安定などを期待する声がある一方で、非製造業や建設業を中心に深刻化する人手不足への対応に苦慮している状況がうかがえます。
先行きについては、製造業と非製造業で改善を見込んでおりますが、米中経済の行方や急激な為替変動などが懸念材料となっており、来年初めにかけて横ばいで推移する見通しであります。

<提言書「カーボンニュートラルの実現に向けた社会実装の推進」>
次に、提言書「カーボンニュートラルの実現に向けた社会実装の推進」について、お話しいたします。
この提言書は、勝野委員長のもとエネルギー・環境委員会が作成し、本日の総合政策会議において承認を受けましたので、公表するものです。
中部圏は、強固なサプライチェーンを基盤とするものづくり産業の集積地であり、技術の社会実装を見据えた最適な実証フィールドとして、わが国の脱炭素化に向けた技術革新を促す原動力となるべき地域です。
脱炭素技術を社会実装につなげるためには、産学官や企業間が研究開発の段階から連携するなかで、企業や社会のニーズと大学のシーズを一致させ、実装後の姿を共創することが不可欠です。
その上で、当地で生み出された独自技術やサービスなどの知的財産について、国際的な規格化や標準化を図り、その先の事業化、産業化に向けた道筋を描くことが重要と考えています。
中経連は本書を通じ、世界を変える脱炭素技術の社会実装に向けた動きを加速させることで、わが国の産業活性化や国際競争力の強化、さらにはカーボンニュートラルの実現に貢献してまいります。

<2025年度税制改正に対する意見>
次に、2025年度税制改正に対する意見について、お話しいたします。
この意見書は、伊藤委員長のもと税制委員会が作成し、本日の総合政策会議において承認を受けましたので、公表するものです。
わが国が現在、少子高齢化に伴う労働力不足や東京一極集中による地方の人口減少などに直面するなか、持続的な経済成長の実現と地域の魅力向上を両立させるためには、税制による後押しが極めて重要になると考えております。
本会は、来年度の税制改正に向けた意見として、会員企業からの声を踏まえた3つの重点要望項目を掲げました。
1点目は、地域の魅力向上に向けた「地域未来投資促進税制」の期限延長と要件緩和
2点目は、地域経済を支える中堅・中小企業への支援に資する税制優遇措置の利用促進・拡充
3点目は、スタートアップ人材活躍の機会創出支援に向けた税制優遇措置の拡充
であります。
中経連は今後、ひとつでも多くの要望項目が政策に反映され、先送りできない諸課題の解決につながることを目指し、政府や関係省庁などへの働きかけに力を注いでまいります。

<機関誌の発行>
最後に、皆さまのお手元には、昨日発行いたしました本会の機関誌「中経連」9・10月号をお配りしております。
今回は、いよいよ来月に始動するステーションAiに関する特集記事をはじめ、ナゴヤ イノベーターズ ガレージにおけるイノベーション創出に向けた取り組みや本会による国への要望活動などをご紹介しています。
中経連は今後も、機関誌による情報発信を通じて、中部圏の歴史や文化、伝統工芸などの魅力のほか、会員の皆さまや当地で挑戦する人々の活躍などをタイムリーにお届けし、人流と活力の増進につなげることで、「地域力の向上」に貢献してまいります。

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