2024.6.19
会長コメント
<はじめに>
本日はお忙しい中、愛知・岐阜・三重・静岡・長野の各県からオンラインを含め200名を超える方々にご臨席いただき、また、日頃より中経連の活動に多大なるご支援とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
皆様のご支援が私たちの活動を支える礎であり、心より感謝しております。
<社会情勢>
現在、日本経済は約30年ぶりの高水準となった賃上げを追い風に、長らく続いたデフレに終止符を打ち、コロナ禍からの完全復活に向けた「再出発の時」を迎えています。しかし、円安による輸入物価の上昇が個人消費に影を落とし、ウクライナや中東情勢の不安、停滞する中国経済、さらには11月のアメリカ大統領選挙の行方により、世界経済の先行きはますます不透明になることが予想されます。
<新たなビジョンの策定に向けて>
このように経済の回復基調に不確実性がある中でも、歴史的な転換点を確実に捉え、中部経済を一段と高い成長軌道に乗せるために、中経連は現在、2050年頃を見据えたビジョンの策定に向けて議論を進めています。日本の出生率は過去最低を更新しており、2050年頃の社会は「労働力の稀少化」や「経済規模の縮小」に直面することが予想されます。人口減少社会においても、当地が持続的に成長していくためには、以下の3つの視点が重要と考えています。
1.産業の進化と多様化
2.人材育成と働き方の進化
3.若者をはじめ多様な人材が集う魅力ある地域社会の形成
ビジョンでは、2050年頃の当地のあるべき姿を描き、その実現に向けて、この3つを柱とした具体的な取り組みを明確にしてまいります。
<2024年度の活動方針>
中期活動指針「ACTION2025」の4年目を迎える今年度は、これまで以上に「実行」にこだわり、計画を具体化し、粘り強くやり遂げることに力を注ぎます。
政策提言団体として、日本中央回廊の効果最大化に向けた道路整備やエネルギー基本計画改定に対する提言、税制改正の要望などを国へ届けることや、将来世代の活躍に向けた人材育成に力を入れることはもちろん、今まで以上に産学官の強固な連携を前提とした活動に注力していきます。
例えば、カーボンニュートラルの分野では、今年結成された中部5県の全国立大学、高専による連携組織「C2-FRONTS(シー・フロンツ)」が研究や教育分野での協働に向けた議論を進める中、中経連としても、来月、シー・フロンツと共催するシンポジウムなどを通じて、産学のつながりを深め、取り組みを強化してまいります。
また、イノベーションの創出にあたっては、中経連が運営するナゴヤ イノベーターズ ガレージと、愛知県が進めるステーションAiや大学などのスタートアップ育成拠点が連携し、共に創る「共創」と競い合う「競争」を積み重ねながら、エコシステム形成に向けて面的な活動を展開していきます。
その起爆剤として、来年2月には、愛知県や名古屋市、名古屋大学などとともに、中部圏初となる5,000人規模のグローバルスタートアップイベントを開催いたします。海外からの参加者も多数募り、このイベントを通じて、当地で起業する利点を国内外へ発信し、ものづくり産業とスタートアップの融合による独自の産業創出につなげていきたいと思います。
<アジパラの成功と会員増強に向けたお願い>
さて、2つほどお願いがございます。
来年4月に開幕を迎える大阪・関西万博に続き、2026年9月にはここ愛知、名古屋で「アジア・アジアパラ競技大会」が開催されます。
この大会は、競技種目数、参加選手数ともに東京オリンピックを上回る規模であり、スポーツのエネルギーが当地に活気をもたらし、中部圏の魅力を発信する絶好のチャンスです。
大会の成功に向け、経済界として大いに盛り上げていきたいと思いますので、ご協力をよろしくお願いいたします。
また、中部圏の声をさらに大きな力に変えて国へ届けるために、会員増強を図り、当会をより層の厚い団体にしていきたいと考えています。今年度は、会員向けサービスの拡充をはじめ、活動を強化してまいりますので、皆さまにも当地の活性化に尽力くださる企業や団体をご紹介いただけましたら幸いです。
<おわりに>
結びに、定時総会の節目にあたり歴史を振り返りますと、中経連は戦後の混乱期にあり先行き不透明な1951年に創立されました。後に制定されたシンボルマークには中部5県の飛躍や連携、求心力の想いが込められ、くすみのない朱色は「晴れやかな景気」を象徴しております。創立以来70年以上の歴史と共に歩んできたこの理念は今後も変わることなく、当地の産学官と地域をつなぎ、ベクトルを合わせることで持続的な経済成長への道を切り拓くことが、私たちの果たすべき役割であります。
会長就任から丸4年を迎えた今、私は当地のさらなる発展と若者が躍動する未来の実現に向けて、一層の情熱を注いでいく所存でございます。
ここにお集まりの皆様と力を合わせ、先達から託された使命を全うするためにも、変わらぬご支援とご協力をお願い申し上げます。
2024年6月19日