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東海地域経済懇談会(2/8)

中経連は(一社)日本経済団体連合会(経団連)、東海商工会議所連合会(東海連)と「東海地域経済懇談会」を名古屋市内で開催し、「官民連携でデフレから完全脱却し、『成長と分配の好循環』を実現する」を基本テーマに、十倉経団連会長、水野中経連会長、嶋尾東海連会長をはじめ主催団体の会員約180名が参加した。概要は以下のとおり。

≪ 十倉経団連会長 挨拶要旨 ≫
日本経済は、継続的な賃金引上げのモメンタム(勢い)や投資・消費の拡大などに支えられ、持続的な経済成長の実現に向けた力強い一歩を踏み出している。

2024年は、この上向きのモメンタムを加速させ、官民が連携して30年来のデフレからの完全脱却を実現する歴史的な転換の年にしたい。そのために、経団連は「成長と分配の好循環の実現」に全力で取り組み、気候変動などをはじめとする社会課題の解決をエンジンとする持続的な経済成長の実現であるGX・DX、スタートアップ振興などを柱とし、イノベーション創出、生産性向上、産業競争力強化に挑戦していく。

分配の観点からは格差問題の解決に向けて、分厚い中間層を形成するために、「マクロ経済政策」「社会保障・税制」「労働政策」の3つの政策分野に、全体感を持った上で一体的に取り組むことが肝要である。とりわけ、現役世代の将来不安を払拭するために、公平・公正で安心な全世代型社会保障制度改革が急務となる。

「構造的な賃金引上げ」に向けては、現在のコストプッシュ型のインフレをデフレから完全脱却できる千載一遇のチャンスと捉え、物価上昇に負けない賃金引上げを目指す。特に、働き手の7割近くを雇用する中小企業の賃金引上げとその環境整備が重要である。価格転嫁や価格上昇に対するネガティブな意識を社会全体で変革していくため、「パートナーシップ構築宣言」への参画を、引き続き広く呼びかけるとともに、その実効性確保に一層取り組んでいく。さらに、構築宣言の趣旨を社会規範として浸透させるため、自社のみならず、関係する企業に対して、「パートナーシップ構築宣言」への参画を呼びかけていただきたい。

世界に目を転じれば、ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢など、世界は分断の危機に瀕しており、国際情勢は混迷の度合いが増している。特に2024年は世界的な選挙の年であり、先を見通すことが一層困難になっている。そうした中で、わが国が「自由で開かれた国際経済秩序の再構築」を訴えることは非常に重要だと考える。

2025年4月13日には、大阪・関西万博が開幕する。会場建設費の募金へ多大なご協力に改めて御礼申し上げる。万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」である。私はこの頃、コロナ禍や各地の紛争、能登半島地震などから、世界中の人々が生命の尊さを実感するとともに多様性を認め合い、連携することの大切さを感じている。万博を通じて、生命の尊さと連携の大切さをわが国から発信することに、非常に大きな意義があると考える。引き続き、万博の成功に向けて、より一層のご理解とご支援をお願いしたい。

最後に、経団連は引き続き、“from the social point of view(社会性の視座)”、科学的・論理的・客観的な視点に立ちながら「サステイナブルな資本主義の実践」に向けて努力していく。そして、「成長と分配の好循環」の実現を通じて、日本経済にダイナミズムを取り戻していく決意である。
中経連ならびに東海連の皆様にも、今後とも変わらぬご支援・ご協力をよろしくお願いしたい。

≪ 懇談概要 ≫
懇談会では、「活力ある地域づくり」「産業競争力の強化」をテーマに発言がなされ、中経連からは柘植副会長が「中部圏のインフラ整備」、神野副会長が「産学連携による人材育成」について問題提起した。

テーマ1 活力ある地域づくり
<中経連・東海連からの問題提起>
中心市街地活性化の再始動」 松石 半田商工会議所 会頭
「人口減少への対応」亀井 名張商工会議所 会頭
「経済を中でまわし、三方よしの恵那を築く」 阿部 恵那商工会議所 会頭
「中部圏のインフラ整備」 柘植 中部経済連合会 副会長

柘植副会長は「中部圏を活力ある地域とするためには、リニア中央新幹線や新東名・新名神高速道路の開業などによって形成される『日本中央回廊』の効果最大化を図ることが非常に重要である」と強調した。その上で、「とりわけ、求められるのは、南北の移動時間短縮に向けてリニア中間駅と南北を結ぶ高規格道路の整備である」と力説した。加えて、これらがもたらす波及効果として、移動時間の変化や新たなイノベーションの創出、新たなビジネススタイルやライフスタイルの可能性、巨大災害に対するリダンダンシーの強化、新たな広域観光交流の促進などを挙げた。

テーマ2 産業競争力の強化
<中経連・東海連からの問題提起>
「産業競争力の維持・強化に向けた水素活用」 内藤 名古屋商工会議所 副会頭
「産学連携による人材育成」 神野 中部経済連合会 副会長

神野副会長は、「中部圏の産業競争力を高めるためには、変化の激しい時代を乗り越え、活力ある社会を築くイノベーションを打ち出す人材育成が必要であり、産学が一体となって検討していくことが重要である」と発言し、①産学連携による教育システムの見直し、②リカレント・リスキリング教育、③高度人材としての博士人材に焦点を当てた中経連の取り組みを紹介した。
中経連・東海連が問題提起した内容を受けて、経団連から「地域経済・社会の活性化」「農業の成長産業化に向けて」「持続可能なレジリエントな観光への革新」「社会基盤の強化に向けて」「GXの推進」「産学連携による人材育成」「スタートアップ振興」「経営労働政策特別委員会報告」について説明した後、意見交換が行われた。
最後に、中経連の水野会長が閉会挨拶を述べ、懇談会は盛会裏に終了した。

懇談会後に開催した、水野中経連会長、十倉経団連会長、嶋尾東海連会長共同記者会見の様子。

翌9日(金)には、経団連会長・審議員会議長・副会長に対して、カーボンニュートラル社会の実現に向けた最新技術の視察会を実施。国内最大級の石炭火力発電所である(株)JERA・碧南火力発電所内を見学するとともに、同社が挑戦する燃焼時にCO2を出さないアンモニアを活用したゼロエミッション火力発電の取り組みについて、活発な意見交換が行われた。

 

 

 

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