NEWS

情報発信

水野会長「2月度定例記者会見」あいさつ要旨(2/5)

水野明久 中部経済連合会会長の定例記者会見を開催し、2024年春季労使交渉に向けた考え方などについて説明しました。

<はじめに>
元日に発生した能登半島地震から一か月余りが経過いたしました。
被災地では現在も、断水などによる暮らしへの影響や、厳しい寒さの中での避難所生活が続くなか、当地の企業や行政などでは、人手の派遣や物資の提供など、それぞれの専門性を活用した支援の輪が広がっております。
被災されたすべての皆様が、震災前の笑顔を取り戻し、一日も早く安心な生活やなりわいが再建されることを心よりお祈りいたします。

<2024年春季労使交渉に向けた考え方>
昨年は、新型コロナウイルスが5類に移行されたことも後押しとなり、個人消費の持ち直しや、半導体不足の影響緩和に伴う自動車の挽回生産などから、中部圏の景況は大幅に改善いたしました。
また、春闘では、賃上げ率の平均が3%台後半と、約30年ぶりの高水準を記録するなど、バブル崩壊以降、長きにわたった低賃金・低成長といった停滞からの転換点となる兆しが見え始めております。
一方、昨年の全国消費者物価指数の対前年増加率は3.1%と、約40年ぶりの歴史的な上げ幅となるなど、物価上昇圧力が残り、実質賃金の伸び率はいまだ前年割れの状態が続いております。
今後の経済成長のカギを握る内需拡大の持続性を占う上では、実質賃金の伸び率がプラス基調に転じ、消費を下支えすることが重要であり、それが政府・日銀が目指す「物価と賃金の好循環」の姿であると認識しております。

今年は、物価と賃金が安定的に上昇する経済の好循環が実現できるか、まさに「分水嶺」に立つ正念場であり、「デフレからの真の脱却へ向かうチャンスの年」と考えております。
中部経済が力強い回復を遂げ、一段高い成長軌道を描く上では、付加価値を創出し、企業の成長を支える原動力である「人」への投資が不可欠であります。
投資の原資となる適正な価格転嫁や生産性向上が進み、中小企業や非正規労働者を含め、物価上昇に負けない持続的な賃上げが実現されるよう、経営者の皆さまの、できるかぎりの奮起に改めて期待いたします。

<至近の中経連の取り組み>
わが国が今、人口減少や少子高齢化などに伴う深刻な人手不足に直面するなか、中部圏の企業や産業、経済が持続的に発展するためには、先に述べた賃上げによる人的投資のほか、「人材の育成と確保」が重要と考えております。

まず、「人材の育成」に向けた取り組みとして、今月1日には、企業における生産性向上などの後押しを目的とした「デジタル人材育成セミナー」をナゴヤイノベーターズガレージで開催いたしました。
本セミナーには、オンラインを含む約140名が参加し、生成AIを搭載した業務効率化ツールの登場など、デジタル人材の育成を巡る趨勢や、ベテラン社員向けのリスキリングに注力する企業の事例などを紹介した上で、当地企業のデジタル化やDX推進に向けた従業員教育のさらなる加速を呼びかけました。
中経連は引き続き、業務の生産性向上や働き手の能力開発に向けた人材育成の取り組みを支援することで、人手不足の解消や企業の競争力強化、多様な働き方の実現に貢献していきたいと考えております。

次に、「人材の確保」につなげる取り組みとして、先月28日には、外国にルーツのある子ども達などが通う当地の日本語教室と、企業で働きながら教室での学習支援を希望する人材をむすぶイベントを開催いたしました。
製造業をはじめ多くの外国人労働者が活躍する中部圏には、わが国で日本語指導を必要としている児童生徒の4割が暮らす一方、学習場所の不足や日本語教室で講師役などを担う人材の高齢化により、子ども達への十分なサポートに苦慮する実態が顕在化しております。
2022年から定期的に開催している本イベントには、名古屋市内にある5つの教室と、会員企業から集まった約30名のボランティア希望者が参加し、日本語教育を巡る課題や子ども達が教室に求める思いなどを共有した上で、来月からの派遣に向けて始動いたしました。
当会は今後も、より多くの企業や行政などへと支援の輪を広げ、子ども達の社会進出の推進に向けたモメンタムを醸成するなど、外国にルーツを持つ方々が暮らし働き続けるための環境を整備し、人材を惹きつけることで、多文化共生の実現と、ひいては多様な人材の確保につなげていきたいと考えております。

<むすび>
中経連は引き続き、産学官や地域間との連携を通じ、社会課題の解決や中部圏の付加価値向上に貢献できるよう、全力で挑戦してまいります。

PAGE TOP