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東海地域経済懇談会(2/17)

2月17日(金)、中経連は (一社)日本経済団体連合会(経団連)、東海商工会議所連合会(東海連)とともに「東海地域経済懇談会」を名古屋市内にて開催し、「サステイナブルな資本主義を実践し、分厚い中間層の形成を目指す」を基本テーマに懇談を行った。会員約150名が参加した。

【開催挨拶要旨】
◆水野中経連会長
世界では、ロシアによるウクライナ侵攻などの地政学リスクの台頭など、不確実性はなお残っている。自動車産業をはじめ輸出産業が大きな割合を占める中部経済においては、部品調達や原材料価格高騰による影響もあり、依然として厳しい状況が続いている。今後は挽回生産などにより、製造業がけん引役となり、経済が力強く回復していくことを期待している。
次に、東京一極集中について、東京への人口流入が2022年から再び転入超過に転じており、地域の発展を担う人材が減少していることに強い危機感を抱いている。東京一極集中の是正に向けては、懇談テーマでもある「活力ある地域づくり」や「産業競争力の強化」を推進していくことが重要である。
中経連では、2025年までの中期活動指針『ACTION2025』を策定し、中部圏の「地域力」すなわち「活気に溢れ、人を惹きつける力」の向上を目指している。さまざまな活動を進める中で意識しているのは、「つなぎ役」となって、広域の産学官・地域間の連携を促し、より大きな効果を生み出すことである。「次世代モビリティ産業の形成」「イノベーションやスタートアップの創出」「中部圏広域産学官連携協議会」などの活動を通じて、産学官・地域間のつながりが強固なものになってきたことを実感するとともに、中部圏の持続的な発展に向けて、さらなるギアアップを図っていきたい。

◆十倉経団連会長
ロシアによるウクライナ侵略は、国内外の経済社会活動に多大な影響を及ぼすとともに、わが国の食料・エネルギー安全保障の課題が浮き彫りになった。こうした困難な時期だからこそ、経団連が事業方針として掲げる「サステイナブルな資本主義の実践」が重要であり、社会課題の解決と持続的な経済成長の実現の両立に力強く取り組んでいく。「サステイナブルな資本主義」の実現には「活発な国内投資」「旺盛な個人消費」が重要である。
「活発な国内投資」については、グリーントランスフォーメーション(GX)などの重点分野に対し、官民連携で国内投資を促す取り組みが肝要である。2022年5月には、提言「グリーントランスフォーメーション(GX)に向けて」を取りまとめ、2050年カーボンニュートラル実現に向けて、8つの政策パッケージの具体化を求めてきた。引き続き政府と連携して、GX経済移行債による10年20兆円の大規模な財政支援、成長志向型カーボンプライシングなどの具体化に取り組んでいきたい。
「旺盛な個人消費」については、わが国が目指すべき経済社会の姿として「分厚い中間層の形成」を掲げている。GXやDXによる成長で得られた果実を「分配」し、次の成長につなげていかなければならない。具体的には、「持続的・構造的な賃上げ」「成長分野への労働移動の円滑化」「全世代型社会保障の構築」などである。2023年1月、経団連は「2023年版経営労働政策特別委員会報告」を公表し、今年の春季労使交渉・協議にあたっては、積極的な賃金の引き上げを呼びかけている。賃金引き上げのモメンタム(勢い)の維持・強化には、日本企業全体の働き手の内7割近くを雇用する中小企業の賃金引き上げとその環境整備が欠かせない。これまで経団連では、政府が推進する「パートナーシップ構築宣言」に積極的に協力してきた。中経連・東海連にも是非ともご協力をお願いしたい。
一方、国際関係については、厳しい国際情勢下にあっても、比較優位に基づく「自由貿易の推進」が基本であり、経団連としてG7各国を代表する経済団体とともに、自由で開かれた国際経済秩序の重要性を発信していきたい。
最後に、開幕まであと2年と迫った2025年大阪・関西万博は、コロナ禍を乗り越えた明るい未来社会、「Society 5.0 for SDGs」のモデルを、日本から世界に発信する絶好の機会である。会場建設費における経済界からの多大なご協力に改めて感謝するとともに、全国的な機運醸成と万博の成功に向けて、引き続きご理解とご支援をお願いしたい。

【懇談概要】
テーマ1 活力ある地域づくり<東海側からの問題提起>

◆「変化やリスクをクリエイティブ゙に乗り越えるまち・名古屋」の実現に向けて /  髙﨑  名古屋商工会議所 副会頭
◆ものづくり・観光産業の振興 / 伊藤  三重県商工会議所連合会 会長
◆多文化共生による地域活性化 / 大島 中経連 副会長

テーマ2 産業競争力の強化 <東海側からの問題提起>
◆スタートアップ支援の取り組み /  豊島  一宮商工会議所 会頭
◆刃物産業の現状と展望 /  鈴木  関商工会議所 会頭
◆次世代モビリティに関する画期的産学官連携構築の取り組み /  佐々木 中経連 副会長

テーマ1「活力ある地域づくり」およびテーマ2「産業競争力の強化」について、東海側(東海連、中経連)からの問題提起を行い、中経連からは大島副会長と佐々木副会長が発言した。
大島副会長は、多文化共生による地域活性化について、「多様性に富んだ人材の集まる魅力ある圏域の創造に向けて、外国人材活躍の積極的な推進が重要である。有能な外国人材を呼び込むためには、外国人が家族を含め生活者として安定的に暮らせる社会基盤の整備や支援体制の構築が必要である」と発言し、地域日本語教室支援や留学生就職支援の取り組みを紹介した。
佐々木副会長は、次世代モビリティに関する画期的産学官連携構築の取り組みについて、「自動車産業は現在100年に一度の大変革期を迎えている。中部圏がこの大変革に順応して生き残ることが、日本のために必要不可欠である。そのためには、次世代モビリティの本格的な社会実装の場を中部圏に興し、拡げていくことがポイントである」と発言し、「中部先進モビリティ実装プラットフォーム(CAMIP)」「COI―NEXT」の活動を紹介した。
経団連からは「大都市の国際競争力強化に向けて」「持続可能でレジリエントな観光への革新」「ダイバーシティ&インクルージョン」「イノベ―ションの創出」「グリーントランスフォーメーション」「サイバーセキュリティ経営宣言2.0」「司令塔機能を強化し、新たな感染症に備える」「経労委報告」について発言があった。
最後に、東海連の嶋尾会長が閉会挨拶を述べ、懇談会は盛会裏に終了した。

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