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「『国土強靱化税制』の整備・創設に向けての要望」を全国8経連が共同で要望・発表(11/19)

中経連は11月19日(木)に企業が自主的に取り組む防災・減災対策設備投資に対する税制優遇措置である「国土強靱化税制」の整備・創設について、2019年11月の前回提言に引き続き、全国の地域経済連合会8団体(北海道、東北、北陸、中部、関西、中国、四国、九州)との共同要望「『国土強靱化税制』の整備・創設に向けての要望」として公表した。

共同要望書:「国土強靱化税制」の整備・創設に向けての要望(PDF)

本要望書の内容は以下の通りである。

【体系的な税制実現に向けてのあらためての要望】
◆地域経済連合会8団体が、2018年8月に要望申し上げた「国土強靱化税制の整備・創設」は、2019年7月、中小企業防災・減災投資促進税制の創設により、大きな一歩を踏み出した。関係各位のご理解とご尽力に、あらためて深く感謝申し上げる次第である。
◆しかしながら、中小企業防災・減災投資促進税制の対象である、中小企業による防災・減災に資する機器・機械設備への投資だけでは、国民生活・経済全体のレジリエンスを高めるための防災・減災投資として十分とは言えない。このため、「中小企業防災・減災投資促進税制」を足掛かりとして、事業規模を問わず、すべての民間事業者が行う、地震・風水害等のあらゆる自然災害を念頭に置いた、「体系的な国土強靱化税制」の整備・創設を、あらためて要望する。
なお、体系的な税制の整備・創設に向けては、関連府省庁の間で一層緊密な連携が図られ、当該税制の創設が実現することを期待する。

【要望の具体的内容】
(1)民間施設等の防災・減災に資する、事業用施設(建物)、機械設備をはじめとする設備投資等(事業規模を問わず、すべての民間事業者が行う、地震・風水害等のあらゆる自然災害を念頭に置いたものとする。)を促進する体系的な税制の整備・創設
(2)民間施設の防災・減災対策を促進する、中小企業防災・減災投資促進税制をはじめとする既存の税制の活用増進及び一層の拡充、延長

【2021年度税制改正に向けた重点要望事項】
(1)上記「要望の具体的内容(1)」における体系的な国土強靭化税制の整備・創設は、国土強靭化基本法や国土強靭化基本計画の内容を踏まえつつ、優先順位の高いものから段階的かつ継続的に速やかな対応が図られていくことが重要。
このため、2021年度の税制改正にあたっては、そのファーストステップとして、以下の設備投資等を促進する税制の整備・創設の実現を強く要望する。(下記の(2)との重複分を除く。)
-事業用施設(建物)および機械設備をはじめ、【要望の具体的内容】(1)に含まれる内容のうち、「災害発生時において国民経済全体や国民生活へ及ぼす被害影響の大きさ」と「当該設備投資・工事等による防災・減災効果への寄与度」の観点等から、優先度が高いと判断されるもの
(2)中小企業防災・減災投資促進税制の期限延長及び内容拡充と一層のPR活動促進

【要望の趣旨(理由)】
(1)南海トラフ巨大地震や首都直下地震等の発生が高い確率で予想されていることや、頻発する豪雨災害など自然災害の激甚化が進んでいることから、災害への備えは急務の課題となっていること。
(2)国土強靱化基本法の基本方針・国土強靱化基本計画の基本目標において、「人命の保護が最大限に図られること」と「国家及び社会の重要な機能が致命的な障害を受けずに維持されること」が掲げられているが、 内閣府の「南海トラフ巨大地震の被害想定について(経済的な被害)」(2019年6月)では、生産活動低下の長期化等による国際競争力の「不可逆的低下」などの可能性を指摘しており、そうした事態は「国家および社会の重要な機能の致命的な障害」にあたるため、何としても避けねばならないこと。
なお、国土強靱化基本計画は、「サプライチェーンの寸断等による企業の生産力低下による国際競争力の低下」への対応を重要視し、15の「重点化すべきプログラム」の一つに選定している。
(3)南海トラフ巨大地震や首都直下地震等では、巨額の被害が想定されている。たとえば、2013年3月の中央防災会議・防災対策推進検討会議・南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループによる「南海トラフ巨大地震の被害想定について(第二次報告)~経済的な被害~」では、南海トラフ巨大地震の被害は最大220.3兆円と想定されているが(2019年6月に最大213.7兆円に見直し)、建物の耐震化率を上げることなどにより、当該被害額を100兆円程度大幅に減少させることが可能と試算されている(2013年3月時の試算)。この被害額の中には、業務用の建物・工場が被る被害額も含まれているため、産業界として、建物の耐震対策に係る設備投資をはじめとする必要な対応を計画的に進めていくことが、国レベルの甚大な被害額を抑制していくためにも重要と考えられる。
(4)本税制の実現は、「国民生活に不可欠な製品供給やサービス提供の途絶リスクの極小化」や「多くの国民が日々の生活の糧を得る場である職場の保全・維持」等の観点から、国民生活そのものを守ることにも大きく貢献すること。
(5)優遇税制(特別償却)等による投資促進は国土強靱化基本法で強調されている「民間資金の積極的な活用」にも合致すること。

以上

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