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フューチャーコンパス第18回講演会「激甚災害をもたらす台風の航空機観測」(9/30)

(一社)中部圏イノベーション推進機構(会長:水野明久 中経連会長)は、9月30日(水)、情報提供プログラムのフューチャーコンパス第18回講演会をオンラインで開催し、約40名が参加した。
講師として名古屋大学宇宙地球環境研究所 教授の坪木和久氏を迎え、「激甚災害をもたらす台風の航空機観測」と題して講演を頂いた。講演要旨は以下の通り。

1.地球温暖化による災害リスク上昇
日本はさまざまな災害が高頻度で発生し、まるで自然災害のデパートのようだ。加えて、地球温暖化の影響により、そのリスクはさらに高まっている。猛暑日が増えるだけでなく、海水温上昇に伴う大気中の水蒸気量増加により大気が不安定化することで、夏は台風の頻度や強さが増大し、冬は豪雪となる。度重なる豪雨が河川増水を引き起こし、処理しきれずに大災害につながる事態も頻発している。その中でも特に近年の台風被害は、風水害による保険金の支払額で見ると上位のほとんどを占めており、2018年の台風21号では過去最高となる総額1兆円超の支払いを記録した。

2.台風の航空機観測の重要性
頻発する強い台風への備えは重要度を増しているが、防災に欠かせない情報である台風予測には、改善の余地が残っている。進路予測の精度が上がっている一方で、強度予測は長い間、ほとんど改善されていない。台風強度の予測改善には、航空機を用いた台風の直接観測による実測値が必要不可欠である。名古屋大学では、世界でもほとんど行われていない航空機観測に、超高解像度モデルを組み合わせて、世界トップクラスの台風研究を行っている。

3.激甚化する台風被害軽減のために
温暖化の進行により日本を含む中緯度地域では、今世紀後半にかけて台風や大雨などの極端気象による災害がさらに激甚化すると予想されている。これまで本州で経験したことがないようなスーパー台風(風速67m/s以上)が本州付近まで到達する可能性も 十分にある。このため、気象予測の重要性はますます高まっている。信頼性の高い予報にもとづき、的確な防災対策と被害軽減が実現すれば経済や社会コストの抑制につながる。台風の直接観測を通じて予測精度を向上させ、防災へのさらなる貢献を目指したい。


台風の航空機観測で使用するジェット機(Gulfstream II)


2017年の台風21号の航空機観測時に台風の目内部にて撮影

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